「よくある質問のページを作りましょう」と言われても、何を何問書けばいいのかで手が止まります。書き出してはみたものの、結局あまり読まれていない。そんなページも珍しくありません。
使われるFAQと使われないFAQを分けるのは、文章のうまさではありません。頭で考えて書いたか、実際に聞かれた質問から書いたかの差です。そして最初から完成させる必要もありません。当社が自社サイトで動かしているチャットボットも、公開したときのQ&Aは28問でした。それが今は190問です。
以下、中小規模のお店や事務所がご自身で作れる前提で、何問から始めるか・どう書くか・作ったあと何をするかの順に進めます。
お客様は、電話より先に「よくある質問」を見に来ている
ラクスが2025年8月に実施した調査(チャットボットやFAQページで問い合わせをした経験がある1,008人が対象)では、疑問を自分で解決したいときに最初に使うチャネルの1位が「公式サイトのFAQページ・ヘルプページ」で44.3%でした。キーワード検索(22.5%)やチャットボット(20.2%)を上回っています。
同じ調査で「人に問い合わせる前に済ませたい」と思う場面を聞いた結果は、1位が「よくある質問で解決できそうなとき」の47.5%。2位が「急いでいて今すぐ知りたいとき」で44.6%でした。
PRIZMAが2025年4月に501人へ行った調査でも、チャットボットに任せている対応の最多は「よくある質問」で53.2%です。つまりFAQは、お店の代わりに一番よく受け答えをしている窓口ということになります。ここの出来がそのまま、鳴る電話の本数に返ってきます。
作り始める前に決める2つのこと
誰に向けたページなのかを1つに決める
既にご利用中のお客様と、まだ来店したことのない方では、聞きたいことが違います。前者は「変更のしかた」を、後者は「料金」や「予約の取り方」を知りたい。両方を1ページに混ぜると、どちらにとっても探しにくいページになります。
迷ったら、まだ来ていない方に向けて作ってください。問い合わせの入口を広げる効果が大きいのは、こちらだからです。
最初は30問前後でいい
100問そろえてから公開しようとすると、たいてい公開が半年先になります。前述のとおり、当社の自社サイト用チャットボットは28問で公開しました。足りない分は、あとから聞かれた質問で埋めています。
最初の30問は、この6つの箱に5問ずつ入れるつもりで考えると埋まります。
- 料金(いくらか、追加料金はあるか、支払い方法)
- 予約(取り方、変更、キャンセル、当日でも可能か)
- 営業時間と定休日(時間外の連絡はどうするか)
- 場所とアクセス(駐車場、最寄り駅からの道順)
- サービスの中身(所要時間、対応範囲、対応できないこと)
- はじめての方向け(持ち物、当日の流れ、必要な準備)
FAQの作り方|5つの手順
手順1|頭で考えず、実際に聞かれた質問を書き出す
最初の材料は、机の上ではなく手元にあります。電話メモ、問い合わせフォームの受信箱、予約時のやりとり。ここ1か月ぶんをさかのぼって、聞かれた質問をそのまま書き出してください。スタッフの方に「先週どんなことを聞かれましたか」と尋ねるのも早い方法です。
この工程を飛ばすと、FAQが「こちらが説明したいこと」の一覧になります。お客様が知りたいのはサービスへのこだわりではなく、駐車場が何台あるかだったりします。
書き出すときは、お客様が使った言葉のまま残してください。「料金体系についてご教示ください」ではなく「いくらくらいかかりますか」です。この言い回しが、あとで手順4に効いてきます。
手順2|1つの質問に、1つの答えまで割る
集めた質問は、たいてい2つ3つがくっついています。
たとえば「駐車場はありますか、何台停められますか、予約は必要ですか」。これは3つの質問です。1つにまとめて長い答えを書くと、駐車場の有無だけ知りたい人が最後まで読む羽目になります。
質問と答えが1対1になるまで割ってください。答えが2つ以上の話題にまたがっていたら、質問が割れていない合図です。
手順3|答えは結論から、2〜3行で
FAQでよく起きるのは、書いてある内容は正しいのに「で、結局どうすればいいのか」が伝わらない状態です。原因はほぼ、結論が後ろにあることです。
「はい」「いいえ」で答えられる質問は、その一言から始めます。
惜しい例
Q. 当日の予約はできますか?
A. 当店は完全予約制となっており、施術の準備やスタッフの配置の都合上、原則として前日までのご予約をお願いしておりますが、空き状況によっては当日でもお受けできる場合がございます。
直した例
Q. 当日の予約はできますか?
A. 空きがあればお受けできます。当日のご予約はお電話でご確認ください。前日までのご予約なら確実にお取りできます。
言っている中身は同じでも、読む側の負担が違います。目安は2〜3行。超えたら手順2に戻って、質問が割れていないか確かめてください。
手順4|同じ質問の「言い換え」を一緒に書き出す
ここが、多くのFAQで抜ける工程です。
お客様は「料金はいくらですか」とは限りません。「いくら?」「費用を知りたい」「相場はどのくらい」「予算はどれくらい見ておけばいい?」と、人によって言葉が変わります。ページ内検索やチャットボットは、この言い換えを登録していないと同じ質問だと気づけません。
先ほどのラクスの調査では、自己解決の窓口が「わかりやすい」と感じる条件として、1位が「直感的に操作できて迷わず使える」41.2%、2位が「質問例や入力のヒントがある」34.0%、3位が「言葉の揺れに対応してくれる」31.6%という結果が出ています。3人に1人が、言い方の違いを吸収してほしいと答えていることになります。
1問につき3〜5個で構いません。質問を書いたその場で、別の言い方をメモしてください。あとからまとめてやろうとすると、まず終わりません。
手順5|答えられない質問は、無理に載せない
「症状に合う施術はどれですか」「うちの場合は保険が使えますか」。こうした個別判断の質問は、FAQに書ききれません。ここで無理に一般論を書くと、間違った案内になります。
間違った案内の代償ははっきりしています。トランスコスモスが2025年7月31日から8月5日にかけて4,000人へ行った「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2025-2026」では、AIから誤った回答を受けた消費者のうち25%が問題解決そのものをあきらめて離脱し、53%が有人の窓口へ移ったと報告されています。
間違えるくらいなら、答えないほうがいい。「こちらはお電話でご相談ください」と正直に書いて連絡先を添えるほうが、お客様は離れません。
作ったあとが本番|答えられなかった質問から足していく
先ほどのラクスの調査では、チャットボットやFAQで解決できず、結局メールや電話で問い合わせた経験がある人が72.5%にのぼりました。7割が「載っていなかった」を経験している計算です。
この「載っていなかった質問」こそ、次に足すべきFAQです。作るときは想像でしたが、育てるときは実データで進められます。
問題は、電話で聞かれた質問は記録に残らないことです。忙しい日ほど、誰も覚えていません。逆にチャットボットに聞かれた質問は文字で残るので、何が足りていないかを後から見返せます。この点は会話ログでわかるお客様の生の声の記事で詳しく書いています。
当社のチャットボットの場合、答えられなかった質問は自動的に「未対応の質問」として集まり、毎朝まとめてメールで届きます。届いた質問をQ&Aに足す。28問が190問になったのは、この繰り返しの結果です。
FAQページとチャットボット、どちらに載せるか
結論から言うと、どちらか一方を選ぶ必要はありません。同じQ&Aを両方で使えます。ただし役割は違います。
FAQページは、ひととおり目を通したい人に向いています。弱点は数が増えたときです。100問が縦に並んだページから自分の質問を探すのは骨が折れますし、カテゴリ分けをしても探す手間そのものは消えません。
チャットボットは、探す作業をお客様にさせないのが強みです。質問を打ち込む、あるいはボタンを押すと、該当する1問だけが返ってきます。営業時間外でも同じように動きます。
Q&Aが30問までならページだけでも足ります。100問を超えたあたりから、探す手間がFAQの効果を打ち消し始めます。この切り替えどきについてはFAQを自動化して問い合わせを減らすにはにまとめました。
AI相談窓口botでのFAQの育て方
当社の「AI相談窓口bot」は、ここまで書いた手順をそのまま道具にしたものです。
いちばんの特徴は、AIに回答を作文させないことです。お客様の質問に対して、用意されたQ&Aの中から合うものを選んで返します。だからQ&Aに無いことは、決して答えません。手順5で書いた「間違えるくらいなら答えない」を、仕組みとして固定してあります。この方式の違いはチャットボットの仕組み3種類で比べています。
言い換えも、手作業だけには頼りません。ボタン、覚えた言い換え、キーワード、AIによる照合という順で段階的に探しにいきます。一度「この言い方はこの質問のこと」と確定したものは記録され、次から同じ言い方には即座に返せます。手順4を、運用しながら自動で進めていく形です。
Q&Aの編集は日本語のシートで行います。質問・答え・言い換えのキーワードを打ち込むだけで、専門知識は要りません。答えられなかった質問は毎朝メールで届くので、届いたものから足していけます。
料金は初期50,000円・月額5,000円(いずれも税込)です。最初のQ&A作成、サイトへの設置、予約カレンダーの連携までを初期費用に含んでいます。手順1の「聞かれた質問を集める」ところからご一緒するので、ゼロから30問を考える作業はご負担いただきません。他社との価格の比べ方はチャットボットの料金相場に整理しています。
まとめ
FAQは、頭で考えて完成させるものではありません。実際に聞かれた質問から作り、聞かれ続けるかぎり足していくものです。
手順をもう一度だけ並べます。聞かれた質問を書き出す。1問1答まで割る。答えは結論から2〜3行で。言い換えも一緒に登録しておく。答えられない質問は正直に人へ回す。そして公開したあとは、答えられなかった質問を材料に足していきます。
最初は30問で構いません。当社も28問から始めて190問になりました。完成させてから公開するより、公開してから育てるほうが早く形になります。
Q&Aを集めるところからご一緒したい場合は、お気軽にご相談ください。