チャットボットには、月額0円のまま使えるものがあります。無料プランを用意しているツールは実際にあり、登録すればその日から自分のサイトに置けます。
先に結論です。問い合わせが月100件ほどで、やることが「よくある質問に答えるだけ」なら、無料プランで足ります。そこから外れる条件は3つ。予約や申し込みまで受けたい、答えを誰かに整えてほしい、間違った回答をされると困る。どれかに当てはまるなら、無料の範囲には収まりません。
無料で始めること自体は、悪い選択ではありません。ただし無料なのはツールの利用料だけで、答えを書き出す作業と、答えられなかった質問を拾う作業は自分の手元に残ります。この記事では、無料の3つのタイプ、公開されている無料枠の数字、0円にならない部分の順に見ていきます。
無料のチャットボットは3つのタイプに分かれる
「無料のチャットボット」と紹介されているものは、中身が3種類あります。比較記事の多くはこの3つを1つの表に並べているため、自分が探しているものがどれなのか分からないまま読み終わってしまいます。
1つ目は、ずっと無料で使えるフリープラン。期限はなく、代わりに件数や機能に上限があります。2つ目は、期間限定の無料トライアル。30日間などの区切りがあり、その間は有料の機能まで試せます。3つ目は、自分で作る方法。ツールの利用料はかかりませんが、質問と答えを用意して、サイトに組み込む作業が自分の仕事になります。
見るべき条件はタイプごとに違います。フリープランなら上限、無料トライアルなら期限のあと、自分で作るなら自分の時間です。
無料枠は具体的にどこまでか
IZANAI Powered by OpenAI(クラウドサーカス)のフリープランは、公式の料金ページで月間会話数100回まで/作成できるボット1個/学習データ1個と示されています(2026年7月時点)。月100回はおおよそ1日3件。営業時間外に来る「駐車場はありますか」「何時までやっていますか」を受け止める窓口としてなら、小さなお店では収まる範囲です。
LINE公式アカウントのコミュニケーションプランは、LINEヤフーの公式料金ページで月額0円・送れるメッセージは月200通まで(追加購入は不可)とされています。上のライトプランが月5,000円で5,000通、スタンダードプランが月15,000円で30,000通(いずれも税別)。無料で始められますが、送る量が増えた時点で月額が発生する設計です。
もう1つ、金額の面で注意したい点があります。BOXILが2026年6月に主要26サービスの料金を調べたところ、26のうち14は料金が「要問い合わせ」でした。先ほどのIZANAIも、フリープランの条件は公開されている一方、有料プランの月額は公式ページ上で「お問い合わせ」となっています。無料で始めた先の金額が、始める前には分からないことがある、ということです。
無料でも0円にならない3つの仕事
無料プランを選んでも、次の3つは自分の手元に残ります。
1. 答えを用意する
チャットボットは、質問と答えの組を用意しなければ何も答えられません。PRIZMAが2025年4月に501人へ行った調査では、チャットボットに任せている対応の最多が「よくある質問」で53.2%でした。その「よくある質問」を書き出し、答えの文面を1問ずつ決めていくのは店側の仕事です。数十問そろえるとなると、まとまった時間が要ります。
2. 答えられなかった質問を拾う
用意していない聞かれ方をされると、ボットは答えられません。ラクスが2025年8月に1,008人へ行った調査では、72.5%が自分で調べても解決できず、結局は人に問い合わせていると答えています。答えられなかった質問が誰にも届かないまま溜まると、お客様は黙って離れます。無料プランは会話ログの保存や通知の機能が限られることがあるため、始める前に「答えられなかった質問はどこで見られるのか」を確認してください。
3. 直し続ける
「駐車場」で答えられても「車で行けますか」で答えられない、ということが起きます。聞かれ方は人によって変わるので、公開したあとに言い回しを足していく作業が続きます。月に一度でも見直す時間を取れるかどうかが分かれ目です。
無料で足りる場合と、足りなくなる合図
次の4つに当てはまるなら、無料プランで始めて問題ありません。問い合わせが月100件以下。質問が定型(営業時間、場所、料金、駐車場)。答えを書き出せる人が社内にいる。答えられない質問があっても電話で受けられる。
逆に、次のどれかが出てきたら有料への切り替えどきです。
上限に近づいた。会話数の上限に毎月ぶつかると、月末はボットが止まった状態になります。
予約や申し込みまで受けたい。Tayoriが2025年に行った調査では、問い合わせようとしてやめた人が43.7%おり、その最多の理由は「営業時間外だった」で19.0%でした。夜に「予約したい」と思った人を翌朝の電話まで待たせている状態は、答えるだけのボットでは解けません。
間違った回答をされると困る。AI insideが2024年10月に生成AI導入担当218名へ行った調査では、技術面に不安がある人の59.2%が「事実と違う回答をすること」を挙げ、最多でした。料金や施術内容を勝手に作文されると、無料どころか損害になります。
作る人・直す人がいない。上の3つの仕事を引き受ける人が決まっていないなら、ツールが無料でも運用は始まりません。
有料に切り替えるとき、金額より先に見る2つのこと
1つ目は、その金額に何が含まれているかです。月額に見えていた金額とは別に、Q&Aの作成費、修正のたびの作業費、予約システムとの連携費がかかる形は珍しくありません。含まれるものの見分け方はチャットボットの月額はいくら?に、相場の全体像はチャットボットの料金相場にまとめています。月額の安さだけで比べると総額が逆転する話は安いチャットボットの選び方で書きました。
2つ目は、回答の決め方です。AIに文章を作らせる方式なら、上で触れた誤答の可能性がついて回ります。用意した答えから選ぶ方式なら、書いていないことは答えません。この違いはチャットボットの仕組み3種類で詳しく解説しています。
当社の「AI相談窓口bot」の場合
正直にお伝えすると、当社のAI相談窓口botに無料プランはありません。初期費用50,000円・月額5,000円(いずれも税込)です。有料のなかでは安い側で、BOXILが2026年6月に調べた主要26サービスのうち、月額を公開している固定型プランの中央値24,000円と比べると、およそ5分の1にあたります。
その代わり、先ほどの「0円にならない3つの仕事」のうち、立ち上げの重い部分を当社が引き受けます。最初のQ&Aは、いただいた情報をもとに当社が作成します。公開後のQ&Aの追加・修正は、お客様ご自身でスプレッドシートから行っていただく形で、追加費用はかかりません。答えられなかった質問は自動で集まり、毎朝メールで届きます。放置されて気づかない、という状態になりません。
回答は、AIに作文させず用意した答えの中から選ぶ方式です。書いていないことは答えないので、料金や施術内容を作り話されません。予約は既存のGoogleカレンダーを台帳のまま使い、空き枠の提示・二重予約の防止・前日のリマインドまで自動で回ります。キャンセルは、リマインドメールのリンクから確認画面つきの専用ページで受け付けます。
設置はタグを1つ貼るだけで、サイトの作り直しは要りません。
まとめ
無料のチャットボットは実在します。IZANAIのフリープランは月100会話まで、LINE公式アカウントは月200通まで、いずれも月額0円で使えます。
ただし無料なのはツールの利用料だけです。答えを用意する時間、答えられなかった質問を拾う時間、直し続ける時間は、無料プランでも有料プランでも必ず発生します。誰がそれを引き受けるのかを先に決めてから、無料で始めるか、任せられる有料を選ぶかを判断してください。
「うちの問い合わせ件数だと無料で足りるのか」という段階のご相談も歓迎です。お気軽にご相談ください。