予約システムを無料で始めたいと調べると、「無料で使える予約システム○選」というリストがいくつも出てきます。どれも間違いではありません。ただ、リストを見比べても「うちは無料のままで足りるのか」は分からないままです。

先に結論を書きます。無料で足りるかどうかを決めているのは、無料プランの予約件数の上限ではありません。いまお店にかかってきている電話の中身です。用件が「予約の申し込み」だけなら、無料の予約システムで足ります。「いくらですか」「今日空いてますか」が混ざっているなら、予約システムを有料に上げても電話は残ります。

無料の予約システムは、本当に無料で予約を受けられる

まず前提として、無料プランは「お試し期間だけ無料」とは限りません。使える範囲を絞るかわりに、0円のまま使い続けられるものがあります。

お客様から見える動きも有料版と変わりません。予約ページを開いて、空いている枠を選んで、名前とメールアドレスを入れて送信する。お店側のカレンダーには予約が自動で入り、その枠は他の人から選べなくなります。

電話に出られない時間帯の取りこぼしは、これだけでも減ります。カスタマーサポートツールのTayoriが2025年に公表した調査では、問い合わせを検討したのに実際にはしなかった人が43.7%いて、その理由の最多は「営業時間外だった」の19.0%でした。夜に思い立った人が翌朝まで待ってくれるとは限りません。無料でも、24時間開いている受付窓口ができること自体には意味があります。

無料プランの上限は「件数」「ページ数」「自動連絡」の3つで決まる

無料枠の広さは、サービスによってどこを絞るかが違います。公式ページに書かれている実数を2つ見てみます。

Google カレンダー:無料で作れる予約ページは1つまで

Google カレンダーには「予約スケジュール」という機能があり、予約ページのURLを作ってサイトやSNSに載せられます。Google のヘルプには、個人の Google アカウントまたは Workspace Business Starter の場合、予約ページを1つ作成できると書かれています。

逆に、次の機能は対象の Google Workspace か Google One のサブスクリプションが必要だと明記されています。複数の予約スケジュールの作成、リマインダーメールの自動送信、複数カレンダーでの空き状況確認、予約に対する支払いの受け付け、スパム予約防止のためのメールアドレス確認。手順や使い勝手はGoogleカレンダーを予約システムにする方法にまとめています。

STORES 予約:無料は月50件・予約ページ2つまで

予約システムの専業サービスも見てみます。STORES 予約の公式料金ページでは、フリープランが税込0円/月で、月間予約件数50件・予約ページ公開数2つ。ひとつ上のスモールプランは月間予約件数200件・予約ページ公開数10で、税込9,790円/月(年間契約)、複数月契約なら税込12,980円/月です。初期費用とサポート費用はどのプランでもかからないと書かれています。

件数の追加についても書かれています。各有料プランの月間予約件数を超える場合は、50件ごとに1,078円(税込)の予約手数料で受付可能数を足せる、という案内です。これは有料プランの話なので、無料のまま件数を買い足せるわけではありません。

見落とされやすいのは3つ目の「自動連絡」

件数とページ数は比較サイトの表に必ず載っています。見落とされやすいのは3つ目です。予約が入ったあとにお客様へ自動で送られる連絡が、無料枠に入っているかどうか。

先ほどの Google の一覧に「リマインダーメールの自動送信」が有料側に並んでいたのが、まさにこれにあたります。予約を受けるところまでは無料でできて、前日に思い出してもらう部分から先が有料、という線の引き方です。

ここが効くのは、無断キャンセルが起きているお店です。予約管理サービスのORENDが2025年9月に発表した調査では、5人に1人が無断キャンセルの経験ありと答え、理由の最多は「予約自体を忘れていた」でした。ソーシャルデータバンクが2023年10月に1,000名に聞いた調査でも、57%が「リマインドで予約を思い出した」と答えています。忘れられているだけなら、思い出してもらう連絡が効きます。送り方は予約リマインドの送り方と例文で具体的に書きました。

無料で始めた店が「思ったより電話が減らない」のはなぜか

無料の予約システムを入れたのに電話が鳴り続ける、という声があります。プランが無料だからではありません。予約システムというものの守備範囲が「申し込みを受けるところ」だからです。

予約ページにできるのは、空いている枠を見せて、選んでもらうことです。「駐車場はありますか」「子ども連れでも大丈夫ですか」「初回はいくらですか」には答えません。答えが見つからないまま枠を選ぶのは不安なので、その前に電話が入ります。

楽天コミュニケーションズが2023年10月に発表した中小企業500社への調査では、電話対応に課題があると答えた企業が64.4%。内訳は「折り返しの電話が多い」26.7%、「対応する人がいない」19.5%、「記録が残らない」16.1%と続きます。折り返しが多いということは、その場で答えられない質問が電話で来ているということです。

つまり、無料か有料かは電話の量にほとんど関係しません。関係するのは、質問に答える窓口があるかどうかです。電話そのものを減らす考え方は電話対応を減らす方法にまとめています。

無料のままで足りるか、電話の中身3日分で確かめる

この判断は、感覚ではなく記録で決められます。用意するのはメモ用紙が1枚だけ。

電話に出るたび、用件を「予約」「質問」「変更・キャンセル」の3つに分けて丸を付けます。それ以上は書かなくてかまいません。3日分たまったら数えてみてください。

ほとんどが「予約」で、月の予約件数が無料枠に収まっているなら、無料のままで足ります。無理に有料へ上げる理由はありません。

「質問」が「予約」と同じくらい、あるいはそれ以上あるなら、予約システムを有料に上げても電話は減りません。増やすべきは予約枠の数ではなく、質問に答える側です。

「変更・キャンセル」が目立つときは、リマインドとキャンセル手段が足りていない合図です。連絡しづらいから当日まで放置される、という流れが起きています。

足りなくなったときの選び方は2通り

数えた結果で、進む先が分かれます。

予約の件数が上限に当たったなら、有料プランか専用システム

月の予約が無料枠を超えているだけなら、いま使っているサービスの有料プランに上げるのが早いです。データを移す手間がかからず、操作も覚え直さずに済みます。スタッフごとの予約管理や事前決済まで必要になってきたら、予約専用のシステムを検討する段階です。専用型と会話型の違いはチャットボットの予約システムとは?で比べています。

予約の手前の質問が残っているなら、答える窓口を足す

質問が多かった場合、予約システムを乗り換えても同じことが起きます。必要なのは、予約ページに行く前の疑問に答える窓口です。

ここでチャットボットが向きます。サイトに置いておけば、料金や対応範囲や駐車場の有無に、営業時間に関係なく答えます。答えたあと、そのまま予約まで進んでもらうこともできます。

AI相談窓口botの場合(無料プランはありません)

私たちが提供している「AI相談窓口bot」には、無料プランがありません。先に正直に書いておきます。料金は初期50,000円・月額5,000円(いずれも税込)の一本だけです。

そのかわり、この記事で「無料枠の外」に置かれていた部分を最初から含めています。予約はお店の Google カレンダーに直接入り、同じ枠が二重に埋まらないよう、確定の直前にもう一度空きを確認する作りです。前日のリマインドメールは自動で届きます。キャンセルはメール内のリンクから確認画面つきの専用ページへ進む形なので、電話をかけていただく必要はありません。

質問への回答は、AIに文章を作らせず、用意しておいた回答の中から一番近いものを選んで返します。存在しないメニューや誤った料金を答えてしまう事故を避けるためです。答えられなかった質問は毎朝メールでまとまって届くので、届いたぶんだけ日本語のシートに足していけます。

できないこともあります。鳴っている電話に代わりに出ることはできません。用件を電話になる前に受け止めて、電話の本数そのものを減らす役回りです。

まとめ

無料の予約システムは実在して、予約を受けるところまでは本当に無料でできます。ただし無料枠の線は、件数とページ数だけでなく「予約が入ったあとの自動連絡」にも引かれています。

無料で足りるかどうかは、料金表を見比べても決まりません。決めているのは、いま電話で何を聞かれているかです。3日分の用件を数えて、「予約」ばかりなら無料のまま、「質問」が混ざっているなら答える窓口を足す。この順番で選べば、必要のない月額を払わずに済みます。

電話の中身を数えてみて、質問が多いと分かったときは、お気軽にご相談ください。