月5,000円のチャットボットを入れて、元が取れるのか。
先に答えを書きます。美容室なら、いままで逃していたお客様が月に1人戻ってくれば、それで足ります。1回の会計が5,000円を超えるお店なら、だいたい同じことが言えます。
ただしこれは、ネットでよく見る「費用対効果の計算」とは別の考え方です。なぜ別の考え方が要るのか、そして自分の店で確かめる方法を書きます。
よその記事に出てくる計算は、小さな店には当てはまりません
チャットボットの費用対効果を調べると、だいたい同じ計算が出てきます。問い合わせが何件減るか。1件の対応に何分かかっているか。対応する人の時給はいくらか。この3つを掛けて、浮いた人件費を出す計算です。
これは、電話を受けるための人を雇っている会社の計算です。対応が減れば、その分の給料や残業代が本当に浮きます。
小さな店では、そうなりません。電話を取っているのは店主かスタッフで、その人の給料は電話の本数では変わらないからです。1日20件の電話が10件に減っても、浮くお金は0円。この計算に自分の店を当てはめると、効果はゼロと出ます。
小さな店で増えるのは「聞かずに帰っていたお客様」
Tayoriが2025年に発表した調査では、問い合わせようとしたのに実際にはしなかった人が43.7%いました。理由でいちばん多かったのが「営業時間外だった」で、19.0%です。
この人たちは、電話をかけていません。だから着信履歴にも予約表にも残らず、店からは見えません。小さな店で元が取れるかどうかは、ここが戻ってくるかで決まります。
美容室で計算すると、月に1人か2人
具体的な数字で見てみます。
リクルートの「美容センサス2025年上期」によると、美容室で1回に使う金額は女性が平均7,668円でした(2025年1〜2月の調査。男女それぞれ6,600人が対象)。
月額5,000円のチャットボットなら、時間外の問い合わせから予約が月に1人生まれれば、それだけで上回ります。
初期費用が50,000円かかる場合も、12か月で割れば月あたり約9,200円です。この場合でも月に2人戻れば足ります。
ハウスクリーニングのように1回1万円を超える仕事なら、数か月に1件でも同じことが言えます。サービス全体の金額の目安はチャットボットの料金相場にまとめています。
自分の店で確かめる方法は、3日分のメモだけ
ここまでの数字は、あくまで平均です。判断するには自分の店の数字が要ります。集めるのは3つだけです。
①同じ質問が1日に何件来るか
料金、営業時間、駐車場、当日でも入れるか。電話とメールで同じことを聞かれた回数を、正の字で数えます。
②そのうち、出られなかったのは何件か
留守番電話、折り返し、閉店後の着信。これが「戻ってくるかもしれない件数」です。
③新規のお客様1人が、最初に払う金額
初回の会計金額でかまいません。何度も来てくれた場合の合計は、いまは考えなくて大丈夫です。
記録は3日分で足ります。1か月続けようとすると、たいてい途中でやめてしまいます。レジ横のメモ用紙に3日つければ、月あたりの見当はつきます。
「電話が減って楽になる分」を、お金として足していいか
電話が減れば、時間は空きます。ただ、それを金額に足していいのは、空いた時間にもう1件お客様を入れられるときだけです。
土曜の午後に電話が集中していて、その土曜が予約で埋まっている店なら、空いた時間はそのまま売上になります。平日の昼が空いただけなら、増えるのは休憩時間です。
どちらも店にとってはいいことですが、両方をお金として足すと、実際より効果を大きく見積もることになります。
計算どおりにならない2つのケース
答えられないボットを入れたとき
ラクスの調査(2025年8月・1,008人)では、72.5%の人が「自分で調べても解決せず、結局は人に聞いた」と答えています。トランスコスモスの調査(2025年・4,000人)では、AIに間違った案内をされた人の25%がそのまま離れ、53%が結局は人の窓口に移りました。
答えられないボットは、戻ってくるはずだったお客様を逆に減らします。月額を下げても、この分は取り返せません。
月額のほかに費用がかかるとき
運用サポートや設定作業が別料金だと、毎月払う金額は見積書の月額と違ってきます。1年目は「月額×12か月+初期費用」で見てください。何が月額に入っているかの見分け方は、安いチャットボットの選び方で説明しています。
AI相談窓口botの場合
当社の「AI相談窓口bot」は、初期費用50,000円・月額5,000円(いずれも税込)です。1年目は合わせて110,000円で、月あたり約9,200円。さきほどの美容室の例なら月に2人、2年目からは月5,000円なので1人で足ります。
答えを間違えない作りにしています。AIに文章を考えさせず、あらかじめ用意した答えの中から選んで返すので、書いていないことは答えません。AIの利用料は月額に入っているため、使われるほど請求が増えることもない。答えられなかった質問は毎朝メールで届き、答えはご自身でスプレッドシートに足していただきます(追加費用はかかりません)。
正直に書いておきます。この計算が成り立つのは、聞かずに帰っているお客様が実際にいる店だけです。問い合わせ自体がほとんど来ていないなら、先に必要なのは集客であって、ボットではありません。それと、鳴っている電話に出ることはできません。引き受けるのは、電話が鳴る前の質問です。
効果の確かめ方はチャットボットの効果とは?、時間外の取りこぼしについては営業時間外の機会損失で扱っています。
まとめ
- よその記事にある費用対効果の計算は、電話番を雇っている会社のもの。店主が電話に出ている店では、効果がゼロと出てしまいます。
- 小さな店で元が取れるかは、聞かずに帰っていたお客様が戻るかで決まります。
- 美容室なら月に1人、初期費用を入れても月に2人。それで月5,000円は上回ります。
- 確かめるのは3日分のメモ。同じ質問の件数、出られなかった件数、新規のお客様1人が払う金額。
まずは3日、メモを取ってみてください。