電話が鳴るたびに手が止まる。かといって、電話番のために人を雇うほどの余裕はない。この悩みの解決策として並ぶのが、電話代行サービスとチャットボットです。
2つは同じ「電話の負担を減らす手段」に見えますが、手を打つ場所が違います。電話代行は、鳴った電話に代わりに出てもらうサービス。チャットボットは、電話が鳴る前に用件を片づけてしまう仕組みです。
だから比べる基準は月額ではありません。今かかってきている電話の中身です。用件がバラバラでその場の判断が要るなら電話代行、同じ質問と予約で大半が埋まっているならチャットボット。この記事では、両者の公開料金と「できること・できないこと」を並べたうえで、選ぶ順番を整理します。
電話代行は「電話に出る人」を社外に置く仕組み
電話代行サービスは、自社にかかってきた電話をオペレーターが代わりに受け、用件をメールやチャットで知らせてくれるサービスです。電話が鳴っている状態そのものは変わりませんが、受話器を取る人が社外に移ります。
どこまでやってくれるのかは、サービスの公式説明を読むとはっきりします。電話代行サービス「fondesk」のヘルプでは、自社を「一次取次に特化したサービス」と説明したうえで、オペレーターが聞き取る内容を4つに限定しています。
- 発信者のお名前・会社名
- 簡単なご用件(あて先も含む)
- 折り返しのご希望
- 折り返し先の電話番号
聞き取った内容は通常1〜2分で通知ツールに届きます。電話が鳴っても手を止めなくて済み、内容は文字で残る。ここが電話代行のいちばん大きな効き目です。
「答えること」と「折り返し」は自社に残る
一方で、同じヘルプにはこう明記されています。「オペレーターよりお客様からの問い合わせに回答する、メールでの問い合わせを案内するといったカスタマイズはできません」。つまり営業時間や料金を聞かれても、オペレーターは代わりに答えません。用件を預かって、こちらに渡すところまでです。
ここを見落とすと、導入後にこうなります。電話は取ってもらえた。でも通知を見て、こちらから10件かけ直す。かけ直した先が不在で、また折り返し。電話に出る手間は消えても、答える手間と折り返す手間は残ります。
実際、中小企業が電話対応で困っている中身もそこにあります。楽天コミュニケーションズが2023年10月に公表した「中小企業の電話対応に関する実態調査」(社員6〜300人の企業に勤める課長補佐以上500人が対象)では、電話対応に課題を感じている人が64.4%。課題の中身は「折り返しの電話が多い」が26.7%、「電話に対応する人がいない」が19.5%、「対応の記録が残らない」が16.1%でした。折り返しの多さは、電話代行では小さくなりません。
料金は月1万円から。ただしコール数で上がる
公開されている料金を2社ぶん見てみます。いずれも公式サイトの記載です。
- fondesk:初期費用なし、月額10,000円(税別)で月50件まで。51件目以降は1件200円
- CUBE電話代行サービス:シンプルプランが月額10,000円で月50コール、受付は平日9:00〜18:00
どちらも入口は月1万円前後で、含まれるのは月50件です。50件は1営業日あたり2〜3件。予約と問い合わせで1日10件鳴る店舗なら、月200件を超えて超過料金の側に入ります。電話代行の費用は「電話が多いほど高くなる」性質を持っています。電話の本数そのものは減らないので、負担が軽くなっても請求は軽くなりません。
受付時間の外は自動音声になる
もう一つ、時間帯の制約があります。fondeskのヘルプによれば、オペレーターが電話を受けられるのは平日9:00〜19:00の範囲で、その中から15分単位で設定する形です。設定した時間の外にかかってきた電話は自動音声が流れます。CUBEのシンプルプランも受付は平日9:00〜18:00です。
ところが、お客様が問い合わせをあきらめる理由の最多は営業時間外です。Tayoriの2025年の調査では、問い合わせを検討したのに実際にはしなかった人が43.7%、その最多の理由が「営業時間外だった」で19.0%でした。夜21時に「明日空いてますか」と思った人は、電話代行の受付時間の外にいます。この時間帯の取りこぼしについては営業時間外の問い合わせを逃さない仕組みで詳しく書きました。
チャットボットは「電話になる前」に用件を減らす仕組み
チャットボットは、サイトに来たお客様の質問にその場で答える窓口です。電話には出ません。代わりに、電話をかける理由のほうを減らします。
減らせる用件は思ったより多い部分を占めます。PRIZMAが2025年4月に公表した調査(501人が対象)では、チャットボットに任せている対応の最多が「よくある質問」で53.2%でした。営業時間、駐車場の有無、料金、持ち物、キャンセルの連絡先。この手の質問は答えが決まっていて、人が電話で答えても内容は毎回同じです。
予約も同じです。空き枠を見せて選んでもらい、確定まで進めれば、その1本の電話は最初から鳴りません。電話対応を減らす方法で書いたとおり、電話は「うまく取る」よりも「かける理由をなくす」ほうが効きます。
できないこともはっきりしています。すでに鳴った電話には対応できません。込み入った相談や、言葉にしづらい状況の説明も苦手です。ラクスが2025年8月に公表した調査(1,008人が対象)では、自分で解決しようとして解決できず、結局有人対応に頼った人が72.5%いました。全部をボットで受けきる前提で組むと、この72.5%が行き場をなくします。答えられない質問は人に渡す道を必ず残しておく設計が要ります。
どちらが向くかは、かかってくる電話の中身で決まる
両者は競合というより、担当する区間が違います。判断は「電話の中身」で分かれます。
用件がバラバラで、その場の判断が要るなら電話代行
取引先からの連絡、納期の相談、クレームの一次受け。相手の話を聞かないと何の件か分からない電話が多いなら、人が出るしかありません。事務所を空けることが多い工事業・士業・個人事業では、電話代行のほうが確実です。ボットは「サイトを見に来た人」にしか会えないので、既存の取引先からの電話には手が届きません。
同じ質問と予約で大半が埋まるなら、チャットボット
飲食店、美容室、クリニック、教室のように、かかってくる電話が「予約」「営業時間」「料金」「場所」でほぼ埋まっているなら、話は逆になります。人が出るまでもない用件を人が受けている状態なので、先に減らせます。減らしてから、それでも残る電話に人の手当てを考えるほうが順番として無駄がありません。
判断がつかないときは、1週間だけ電話をメモする
迷ったら、実際の中身を数えるのが早道です。1週間、電話を取るたびに用件を一言だけメモします。「予約」「営業時間」「料金」「クレーム」「取引先」。7日ぶんを並べれば、自社の電話が定型なのか非定型なのか一目で分かります。定型が半分を超えていたら、その半分は電話になる前に片づけられる用件です。
なお、電話に自動音声で応答するIVRやボイスボットという選択肢もあります。方式ごとの違いは電話の自動応答とは?3つの方式の違いにまとめました。
併用するなら、順番はチャットボットが先
両方使う判断もあります。そのときは順番を間違えないでください。先にチャットボットで用件を減らし、残った電話の量を見てから電話代行のプランを決めるほうが得です。
理由は料金の作りにあります。電話代行はコール数で段階的に上がる料金です。月200件のまま契約すれば超過料金の側に入りますが、予約とよくある質問をボットに移して月80件まで落ちていれば、下のプランで足ります。逆の順番だと、減らせたはずの電話にも代行料を払い続けることになります。
役割の分け方はシンプルです。ボットは「サイトを見ている人の、答えの決まっている用件」。電話代行は「かかってきてしまった電話と、判断が要る用件」。この線で分けると重複しません。
AI相談窓口botが担当するのは「電話が鳴る前」
私たちが提供している「AI相談窓口bot」は、後者にあたるチャットボットです。電話には出ません。そこは電話代行の仕事です。担当しているのは、電話がかかってくる前の部分です。
特徴は3つあります。
一つ目は、答えを作らずに選ぶ方式。AIに文章を考えさせず、あらかじめ用意したQ&Aの中から選んで答えます。料金や営業時間をAIが創作して答えてしまう事故が起きません。聞かれ方が違っても拾えるよう、言い換えを覚えて次から同じ表現に対応します。
二つ目は、予約の受け付け。Googleカレンダーの空き枠をそのまま見せて選んでもらい、二重予約が起きないよう確定の直前に空きを再確認します。前日にはリマインドメールが自動で届き、都合が悪くなった方は確認画面つきの専用ページからキャンセルできます。予約の電話とキャンセルの電話が、両方まとめて減ります。
三つ目は、答えられなかった質問の扱い。ボットが答えられなかった質問は自動でたまり、毎朝メールで届きます。届いた質問に答えを足していけば、翌日から同じ質問に答えられるようになります。
料金は初期50,000円・月額5,000円(いずれも税込)です。設置もQ&Aの初期作成も予約カレンダーの連携も、この中に含みます。月額は電話代行の入口とだいたい同じ水準ですが、コール数で上がることはありません。問い合わせが増えても月額は変わらない作りです。相場全体との比べ方はチャットボットの料金相場にまとめています。
電話代行との併用も問題ありません。定型の用件をボットに寄せたうえで、残った電話を代行に預ける形が、いちばん無駄が出ない組み合わせです。
まとめ
電話代行とチャットボットは、電話の「後」と「前」で担当が分かれます。電話代行は鳴った電話に人が出てくれますが、一次取次までで、答えることと折り返しは自社に残り、料金はコール数で上がります。チャットボットは電話には出ませんが、よくある質問と予約を電話になる前に片づけて、鳴る回数そのものを減らします。
比べるのは月額ではなく、いま鳴っている電話の中身です。1週間メモを取って、定型の用件が半分を超えていたら、まず減らすほうから手をつけてください。
AI相談窓口botは初期50,000円・月額5,000円(いずれも税込)、サイトにタグを1つ貼るだけで使えます。自社の電話がどちらのタイプか判断がつかない場合も含めて、お気軽にご相談ください。